対談・インタビュー

わたしも、独り立ちできないと思っていました|「現役保育スタッフの本音トーク」開催レポート

対人支援職(保育スタッフ)

先日、訪問型の病児保育と認可保育園の現場でリーダーとして活躍する2名を招いたトークイベントを開催しました。採用担当も知らないような、現場のリアルな話を聞きたい。そんな趣旨で始まった1時間です。

開催レポートとして3回に渡り、ここで話されたことをお届けします。

  • 前編:「わたしも、独り立ちできないと思っていました」(訪問型の病児保育)
  • 中編:「わたしたち自身も、毎日迷っている」(認可保育園)
  • 後編:別の現場で活躍するお2人が、お互いに聞いてみたいこと

今回の話し手

フローレンスの病児保育 保育リーダー 三橋さん

フローレンスの病児保育 保育リーダー 三橋さん

認可保育園での担任保育士から、2017年4月にフローレンスの病児保育へ転職。2人の子育てと仕事を両立しながらの週4日フルタイム勤務を経験。現在は、保育スタッフとして勤務する傍ら、他の保育スタッフの育成やサポートも担うリーダーとして活躍中。

三橋と言います。2017年入社なので、もうすぐ入社して10年になるところです。

病児保育の保育リーダーと紹介を受けましたが、もしかしたら「リーダーって何をしているの?」と思われるかもしれません。保育スタッフのところへ訪問してサポートしたり、現場からかかってくる困りごとの電話を受けたり、新しいスタッフの育成を担ったり。そうしたリーダー業務も行いつつ、現在も現場に出て保育を行っています。

わたしがこの仕事を始めたきっかけは、「働いているお父さん、お母さんのお手伝いがしたい」という気持ちがとても強かったからでした。こどもが病気になると、どうしても保育園には行けなくなってしまいます。わたしは以前、保育園で働いていたのですが、親御さんに「お迎えにきてください」と電話をかけなければならない立場にいました。

「これでは親御さんが大変すぎる。この子たちを代わりに預かってあげられたらいいのに」

そう考えていたときに、フローレンスの病児保育に出会いました。

親御さんとともに子育てをする

訪問型であるフローレンスの病児保育は、保護者の方との関わりが深くなるのも特徴の一つですよね。親御さんとはどのように関わっているのでしょうか?

今日一日、無事に良い保育が届けられて良かった

朝の引き継ぎの時間は、親御さんは本当に忙しくバタバタされています。15分ほどで大切なその日の体調や留意事項を引き継ぐのですが、その後すぐに親御さんはお仕事に出かけたり、在宅勤務でオンラインミーティングが始まったりします。

そのため、親御さんも焦りや不安を感じていることがあります。やはり、知らない他人に我が子を預けることへの不安も大きいのだと思います。

でも、フローレンスが20年以上病児保育を続けてきた中で、歴代の先輩スタッフたちが築き上げてくれた「フローレンスさんに預ければ大丈夫」という信頼のバトンがあります。そのおかげで、親御さんも信頼して任せてくださることが多いです。

朝は不安そうだった親御さんも、帰りの引き継ぎ時に「今日はこんなことができましたよ」「こんなふうに過ごしました」と詳しくお伝えすると、本当に嬉しそうな、安心した表情を見せてくださいます。

お子さんも、ママやパパが帰ってきた嬉しさと同時に、「今日いっぱい遊んだんだよ!」という報告を親御さんにしてくれます。それを見ると、「今日一日、無事に良い保育が届けられて良かったな」と温かい気持ちで帰路につくことができます。

「うちの子がこんなに絵本を一生懸命見るなんて」

最近は、在宅勤務をされている親御さんも増えています。わたしたちがご家庭に伺うと、大体お父さんかお母さんがお家にいらっしゃって、お仕事を進めています。間取りによっては、親御さんと同じお部屋の中で保育を行うこともあります。

ある日、絵本がとても大好きなお子さんをお預かりしました。わたしがおうちにある絵本をたくさん読んで過ごしていたところ、帰り際にお母さんから、こう言っていただけました。

「うちの子がこんなに絵本を一生懸命見るなんて知りませんでした。家にはたくさん絵本があるから自分で読んでいるのだろうと思っていましたが、なかなかこうして読み聞かせをしてあげられていなかったので、とても参考になりました。」

ご家庭というプライベートな空間に入るからこそ、親御さんと一緒に子育てをしていく体験ができます。これは親御さんにとっても、お子さんにとっても、そしてわたしたちにとっても、温かい時間を共有できる素敵な関わりだと感じています。

子育ては大変なことが多く、保育の経験もない中、親御さんは一生懸命頑張っていらっしゃいます。わたしたちの保育のスキルが少しでもお役に立てればと思い、日々お仕事をしています。

保育園・集団保育との違いとは

三橋さんは、以前保育園で働いてましたよね。フローレンスの病児保育で働いてみて、通常の保育園と一番違うと感じる部分はどこですか?

お子さんが安心安全に過ごせる

やはり、体調不良のお子さんをお預かりすることが大前提なので、その日一日、お子さんが安心安全に過ごせることに特化しています。そして1対1で向き合うというところが、集団保育である保育園とは大きく異なります。
遊びも、「動」の動きではなく、折り紙や読書などの「静」の動きが多くなります。お子さんが回復へ向かう手助けをすることを目指します。

また、体調が悪いときだからこそ、住み慣れたおうちで過ごせるという「お子さんの安心感」や「親御さんの安心感」に寄り添えるのも、フローレンスの病児保育ならではの特徴だと思います。

こどもと「相談」しながら決める

「静」の動きが多くなるとはいえ、こどもは治りかけの時期がいちばん動きたくなるもの。遊びたい気持ちと、安全に静かに過ごしてほしい状況。その間で、どんな工夫をしていますか?

「動きたい!」というお子さんであっても、1対1で向き合っていると、意外と大人の話をよく聞いてくれます。

わたしたちは、よくこどもと「相談」をします。「何したい?」「どうしたい?」「じゃあどうしようか」と、お子さんの意向を聞きながら、相談して決めていきます。

ちょっとした折り紙を自分で持ち込んで一緒に折ったり、おうちにあるおもちゃの使い方をお子さんから教えてもらって遊びを広げたり。その時々でできる工夫を凝らしながら、お子さんの気持ちを満たしつつ「静」の動きへ繋げていくようにしています。

不安や難しさを、どう乗り越えるか

体調不良のお子さんを保育するなんて、親御さんと密接にコミュニケーションを取るなんて難しそう。そう思われる方も多いと思います。
ベテランにもなれば、もう難しく感じることなど何も無いのでしょうか。どうですか!三橋さん。

一期一会に向き合い続ける難しさ

ベテランと言われるようになった(笑)今でも、やはり難しさを感じることはあります。

お伺いするご家庭の環境や状況、親御さんの価値観はご家庭ごとに全く異なります。毎日、初めて関わる親御さんやお子さんと急に向き合わなければならない難しさがあります。最初の15分間でどうやって信頼関係を築き、意思疎通を図るか。このコミュニケーションの部分で難しさを感じるスタッフは多いです。

それでも、「お仕事を頑張る親御さんをサポートしたい」「お子さんにとってどう関わるのが一番良いだろうか」ということを一つひとつ考え、丁寧に対応を重ねることで乗り越えています。

独り立ちできないかもと思っていた

新しく入社されたスタッフの方は、どのように育ち、ステップアップしていくのでしょうか。

病児保育は、安全にお子さんをお預かりするための「業務フロー」やルールがたくさんあり、最初は覚えるのが大変です。わたし自身、入社当初は「自分は独り立ちできないのではないか」と本当に思っていました。

しかし、指導にあたってくれる「指導隊員(先輩保育スタッフ)」や「育成チーム」がしっかり教えてくれます。現場実習の際も、「自分が安心して一人で行けるようになるまで、何回でも先輩と一緒に行っていいんだよ」と、じっくり付き合ってくれました。

座学と現場実習を交互に繰り返し、自分の頭の中でそれらをすり合わせながら、覚えていかなければならないフローを身につけていきます。自信がついて、周囲からも「もう一人で行って大丈夫だよ」と背中を押してもらえるまで、丁寧にサポートします。

独り立ちした後も、わたしたち保育リーダーが実際の現場を訪問してアドバイスやサポートを行う「ブラッシュアップ訪問」という機会があります。

また、年数が経つにつれて、ステップアップ研修も用意されています。風邪のお子さんから、既往歴のあるお子さんや、病状の変化が著しいお子さんなど、専門的な判断が必要なケースに対応できるよう、適切な研修を受けてステップアップしていきます。

毎月、振り返りを行いながら目標をクリアしていく仕組みもあり、前期・後期の半年ごとに「今期はこういう課題を持って頑張る」といった目標を立てて、主体的にスキルアップしていける環境です。

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