対談・インタビュー

社会変革のため組織も最先端に。人事制度の担当者にインタビュー(前編)

コーポレート職
    中途入社人事・採用

フローレンスは2024年4月、人事・労務領域の組織を再編し、働く環境や制度の整備は「はたらく仕組み共創チーム」が担当しています。スタッフの要望に応え、働く環境を整備し続けるのには、どのような背景や思いがあるのでしょうか。

これまでの取り組みや組織の思いなどについて、はたらく仕組み共創チームの関谷道子さんにインタビューし、前後編に分けご紹介します。今回の前編では、フローレンスが時代に先駆けて実施してきた働き方改革などについてお話しします。

関谷 道子

関谷 道子

営業職を経験後、社会保険労務士や社会福祉士などの資格を取得。ITや介護、飲食などさまざまな業界で人事部門を経験したのち、2021年にフローレンスに入職し、バックオフィスからフローレンスで勤務する仲間を支えている。

2024年に「はたらく仕組み共創チーム」が誕生しました。ユニークな組織名ですね!

関谷

フローレンスでは組織名に、目指す姿や思いを込める文化があります。一般的に人事部門はバックオフィスで、現場の職員とは距離があるというイメージもあるかと思います。そうではなく、人事部門だけではなく、すべてのスタッフを巻き込んで組織作りに取り組みたいと考えているんです。その思いを込めたチーム名になっています。

フローレンスでは以前から働き方改革に取り組んできました。コロナ禍以前から在宅勤務も導入していましたよね?

関谷

在宅勤務の取り組みは2007年には始めていました。当時はまだ、在宅勤務を取り入れる企業は少なかったのですが、生産性の向上や働き方の多様化を目指して、週1回から始めたんです。自分たちの働き方を変革することに加え、社外にも発信していくことで、社会を変えたいという思いがあったと聞いています。

スタッフには育児や介護などさまざまな事情がありますから、働き方の選択肢を広げることは必要です。ただし、単に働きやすくすることが目的ではなく、業務の生産性を高めることも重要なのでその両軸のバランスを重視しています。

当時としては先進的な取り組みをしていたおかげで、その後のコロナ禍にもスムーズに対応できたと考えています。

こども・親子の支援現場はフローレンスにとって欠かせない職場です。コロナ禍はどのような状況だったのでしょうか?

関谷

社会的に在宅勤務が推奨される一方で、こども・親子の支援現場は稼働し続ける必要があります。現場スタッフの感染リスクを少しでも低減させ、安心して働いてもらうために、通常時は認めていなかった、自転車通勤を認めるなどの対応をしていました。

支援の現場はサービスの提供時間が決まっている場合も多く、一般的な企業と比べると柔軟な働き方は難しい面があります。一方で、現場スタッフは女性が多く、出産や育児といったライフイベントをきっかけに、時短勤務などのニーズもあります。そのため、フローレンスでは事業部ごとにルールを定めています。

一般的な企業だと公平性が重視され、全社的な判断になることも多そうですね

関谷

事業部ごとに組織の状況や業務内容も異なりますし、事業部で判断したほうが素早く意思決定できます。事業部ごとにルールを定めている組織は珍しいかと思います。ただ、すべてが分断されているわけではなく、従来の働き方が難しくなった場合に、他の施設で勤務するなどの事例もあるんですよ。

また過去には、『働きがいのある会社』や『女性が働きやすい職場』などの外部団体のランキングに選出されたこともあります。前述のような柔軟性ある異動(配置)もランキング入りに寄与しているかもしれません。

関谷さんご自身は、どのようにフローレンスの人事部門に?

関谷

新卒で働き始めた頃は営業職でした。2社目からキャリアチェンジを考え、社会保険労務士の資格を取得しました。その勉強から人事部門のキャリアが始まったイメージですね。ベンチャー企業などでは、未経験でも人事担当者を募集していることもあり、ITや介護、飲食などの業界の人事部門で経験を積みました。

IT企業で働いていた頃は、育児から復帰する女性が増えてきた時代でした。働く女性の困難を解消するサービスを提供してる組織としてフローレンスを知りました。自分自身も出産・育児を経験したので、団体の理念に共感できたのが入職したいと考えたきっかけです。

男性の育休にも積極的ですね

関谷

男性の育休については、特別な施策を実施しているわけではないんです(笑)。取得を促さなくとも、お子さんが生まれたら、自然に取得するカルチャーが根付いています。

もちろん、本部のスタッフだけでなく、こども・親子の支援現場の男性スタッフも取得します。1ヶ月の人もいれば、1年の人もいて、本人が取得したい期間取得するのが当たり前といった雰囲気なんです。

これまでに実現してきた制度についても教えてください。法改正よりも早く、養子の育休取得を実現していましたね!

関谷

当時、法律で定められた育休は、特別養子縁組が正式に認められるまでの「試験養育期間」を対象としていませんでした。これだと、夫婦のどちらかが仕事を辞めて養子を迎えるか、養子縁組を諦めるしかありません。

法制度のすき間にある問題に対して、まずは組織としてできることをすることを大切にしているため、里親や特別養子縁組の準備期間としてこどもを育てる場合でも、育休を取得できるよう就業規則を変更しました。実際に養子を迎えるスタッフもいるんですよ。フローレンスでは血縁に限定せずに、新しい家族の形を模索し続けています。そのため、この試験養育期間にもすぐに対応できたんです。

「実質ひとり親」へのケアにも取り組んでいますね

関谷

「実質ひとり親」というのは、法律上は離婚が成立していないものの、別居しているなどの状況で、実態としてはひとり親になっている人をさしています。社会保障のセーフティーネットからこぼれ落ちてしまう場合もあり、ソーシャルアクションとして取り組みを続けています。フローレンス内においても就業規則を見直して、ひとり親手当の支給条件を実質ひとり親にも適用できるよう変更しています。

どうしてもセーフティーネットからこぼれてしまう事例もあるんですね。法律が想定していないケースや困っている家庭はどのように見つけているのですか?

関谷

社会課題の解決がフローレンスの存在意義・使命なので、事業を継続するなかで、課題や困っている方が浮かび上がります。例えば、フローレンスでは「赤ちゃん縁組」の事業もおこなっていますが、赤ちゃんを自分で産み育てられない環境の方とも接します。

一方で、やはり産んで自分で育てる選択をした場合、その人が「実質ひとり親」になっていくケースもあります。社会課題を解決するなかで、次の課題が見つかったり、困っている方の声が届くといったイメージですね。

このような取り組みをしている団体だからこそ、組織内から声が上がることもあります。例えば、「離婚してないから手当もらえないんだよね」と諦めるのではなく、「離婚してなくて1人なんだよね、じゃあちょっと聞いてみよう」と人事部門に相談してみるといったケースです。社内の声から、わたしたちが気づかされるケースもあります。

人事制度に関するこれまでの取り組みについて話を聞いていくと、組織の思いも見えてきました。後編では、現在の人事制度や組織の将来像などについて話を聞きます!

関連する対談・インタビュー