対談・インタビュー

どんなこどもにも「生きる力と可能性」がある ~インクルーシブ保育の経験から~

対人支援職(保育スタッフ)
    中途入社訪問型障害児・医療的ケア児家庭支援

フローレンスでは、医療的なケアが必要なお子さんをお預かりする、障害児訪問保育アニー、障害児保育園ヘレン、医療的ケアシッターナンシーなど複数の事業を運営しています。

今回は、障害児訪問保育アニーの雰囲気を少しでも知っていただきたく、ある保育スタッフの思いをご紹介します。少しでも身近に感じていただけたら嬉しいです。

医療に密接した保育の現場で働きたい

田口先生は、もともとは地域の保育園で保育士として働いていたということですが、どうして障害児専門の保育の現場で働こうと思ったんですか?

実は障害児の保育に関わりたいと思ったきっかけは、幼少の頃の経験にあります。
幼い頃に入院した時、看護師さん達が医療の面だけでなく、たくさん遊んでくれたことがとても嬉しかったことを今でも忘れません。また、小児病棟で様々な疾患を治療しながら生活をする子ども達の姿は幼いながらに覚えています。

そんな中、NICUで小さな赤ちゃんの保育を行う保育士さんの姿をテレビで観る機会があり、医療にも保育にも関われる仕事がしたい!と思うようになりました。

-子どもの頃の経験がきっかけなんですね。テレビで紹介されていたNICUの保育士さんのようにすぐに医療の現場で仕事をしなかったのはどうしてですか?

まずは、健常児の発達や発育を学び、保育士としての土台をしっかり作りたかったからです。地域の認可保育園での保育、保護者からの相談に乗るなどのサポート、子どもたちを巡る様々な問題と向き合い続け、気付けば15年以上が経っていました。

-気づけば15年以上!天職だったんですね。

はい。とにかく子ども達が可愛くて、やりがいだらけの毎日だったので、保育現場から離れる理由など見つからなかったんです。

健常児でも医療的ケア児でも、どの子も同じ 保育の現場で感じた出来事

-15年以上、地域の保育園で働いていた田口先生が、マンツーマンで障害児の保育をするアニーへの転職。きっかけはあったんですか?

私が働いていた地域の保育園では、障害がある子どもたちを通常クラスで保育をしたことがあります。この経験が大きく影響していると思います。

通常保育の中での特別な配慮が必要な子どもの保育は日々試行錯誤でしたが、周りの子ども達から様々な刺激を受けると、障害がある子もびっくりする程の成長や変化を見せてくれていました。

天気がいい日はお散歩に出かけます。
天気がいい日はお散歩に出かけます。

-そうなんですね。アニー内でもときどき子ども同士が触れ合う機会を作りますが、刺激を受けて成長が促されたりしますよね。子ども同士で触れ合ったときの刺激は本当に大切ですね。

そうなんです。子ども達の輪の中で、毎日たくさんの笑顔と意欲を見せてくれていました。いつの間にか、周りの小さな子どもたちが自然と障害がある子どもたちをサポートしようとする姿まで見られるように。

特別な配慮や対応は必要であっても「どの子も同じ」という気持ちで保育ができたのは、何よりそんな子どもたちの自然体の姿から教えてもらったように思います。健常児も障害児や医療的ケア児であっても、1人の子どもであることに変わりがないこと。このことに改めて気付かされ、幼少の頃に抱いた医療と保育に関わる仕事をして、自分の仕事の経験を広げたいと思いフローレンスの門を叩きました。

-田口先生は、2年間おうち保育園で経験を積んだ後アニーに入りました。アニーで働き始めて感じたことはありました?

驚いたのが、アニーの保育スタッフの皆さんが様々なバックグラウンドを持って入社していることでした。様々な疾患を持つお子さんの保育の形は、本当に多種多様であり、先生達がこれまでの経験も活かしながら、それぞれの家族に合わせて寄り添いながら保育を行っています。看護、保育どちらにおいても、アニーの仲間たちの豊かな経験や知識、技術、その一つ一つが心強く大きな刺激になっています!

刺激を与えられるような遊びを取り入れています
刺激を与えられるような遊びを取り入れています

地域と園児を繋げる役割も私たちにはある

-色々とお話を聞かせていただきありがとうございました!田口先生の今後の目標はなんですか?

最近は、子育てや福祉に関する様々な問題が、メディアやSNSなどを通してたくさんの人に伝わるようになり、障害児や医療的ケア児への関心や理解も深まっているように思います。

でも同時に、まだまだ知ろうと思わなければ知ることができないことが多いようにも感じています。

健常児の子どもたちと一緒に障害がある子どもも、地域によって育てられ、その輪の中で刺激を受けながら生き生きと毎日を過ごせる社会になってほしい。そして日常の何気ない景色や出来事の楽しさ、面白さをもっと感じて、彩り豊かな世界を広げることができるようになってほしいと思っています。

私にできることは、1対1の居宅保育によって、障害児や医療的ケア児を社会や地域に繋げること。そして、保護者の方には子ども達の可愛さや日々の小さな成長をたくさん伝えながら、保育者としての専門的なアドバイスを通して、子育て自体の楽しさや親子の温かな関係性を深めていく役割を担うことができればいいなと思っています。

保育の視点を大切にしながら、子どもなら誰しもが持つ、生きる力や可能性をゆっくり寄り添いながら育んであげることが目標です!

関連する対談・インタビュー