フローレンスの病児保育では、みなさんの子育て経験を「資格」ととらえています。
お子さんの育児で試行錯誤した経験、お子さんが病気になった時に、付きっきりで看病した経験、自分も働きながら子育てと仕事を必死に両立してきた経験。そのどれもが、かけがえのない貴重な経験です。みなさんの子育て経験を、訪問型病児保育の現場で活かしてみませんか?
今回は、子育てと仕事を両立しながらこどもレスキュー隊員として活躍する久保田のインタビューをご紹介します。
久保田祥子(くぼた しょうこ)
認可園での保育補助・ファミリーサポートを経験し、2015年5月にフローレンスに入社。現在、自身も子育てと仕事を両立しながら、週5勤務のこどもレスキュー隊員として活躍中。さまざまなお子さんの病児保育にあたりながら、新人スタッフの指導も担当している。
たまたま見つけた訪問型病児保育のお仕事。「運命的な出会いだ!」と思いました。
久保田さんが、フローレンスに転職したきっかけについて教えてください。
フローレンスを知ったきっかけはFacebookです。ちょうど下の子が中学生に上がったタイミングで、フルタイムで働こうと思って仕事を探していたときでした。Facebookを見ているときにちょうど「フローレンスの病児保育」が出てきて、「わ~おもしろい、こんな仕事があるんだ!」と思いました。しかもちょうどスタッフを募集していて。「これは運命的な出会いだ!」と思ったのがきっかけです。
病気のお子さんをお預かりするということに、戸惑いはありましたか?
そこまで戸惑いはなかったですね。自分も2人子どもを育てていて、お熱が出たりいろいろな病気を経験しました。同時に、自分も仕事をしながら子育てをしていました。子どもが病気のときは、祖父母が近くにいないので、自分で子どもを看病する必要があり、仕事をお休みするということもありました。保育園で働いていたときも、そういう親御さんをたくさん見てきていたので、少しでもお手伝いできるのであれば役に立ちたいと思って入社しました。
私自身は、小さい頃から子どもが好きで、保育士や幼稚園の先生への憧れを持っていました。ただ、いざ高校に上がって将来を考えたときには、保育の道には進まなかったんです。
保育を仕事にしたいと思ったのは自分の子どもが保育園に上がったときです。お迎え時に、息子が遊んでいる中に一緒に入って、子どもたちと遊んでから帰っていたのですが、それがすごく楽しくて。毎日の仕事の疲れも吹っ飛び、その時やっぱり保育っていいなと思いました。それから保育の仕事を探して、保育補助の仕事を始めました。その前もファミリーサポートでお子さんを預かったりもしていて、振り返るとずっと子どもに関わってきていますね。
ただ、私は保育士の資格を持っていないため、フルタイムの正社員で保育職として働ける場所はないと思っていたんです。実は、正社員の仕事を探しているタイミングで、事務職の内定をもらっていて。でもその後にたまたま訪問型病児保育のこの仕事を見つけて、週5ケアビルダーとしてフローレンスで働くことを選びました。
病気のお子さんを預かるというのを覚悟して入社しているので、そういう意味では入社前後でギャップはありませんでした。面接の時にもどんな病気のお子さんをお預かりするのかというお話も聞いていて、熱性けいれんや救急搬送もありうるということは分かっていましたし。ただ、まだ実際に熱性けいれんの対応は経験したことがありません。少し不安はありますが、社内研修などで何度も対応方法を聞いているので、いざと言う時は落ち着いて対応できると思っています。集団保育では、個性を大事にと言いつつも、みんなに合わせなければならない部分もあります。1対1保育では、その子に合わせて過ごせる点が良いなと思っています。
子育てと両立しながら働くこと。
これまでを振り返って、一番思い出深い病児保育は?
3歳の女の子のお宅に訪問したときに、「はらぺこあおむし」のちぎり絵を制作したところ、その子も親御さんもとっても気に入ってくださって。しばらくして再訪したときに玄関に飾っていてくれたんです。なかなか同じお宅に行く機会はないんですが、その後毎回指名をしてくださっていたと知って、「こんな私でもそんな風に言っていただけるんだ」という喜びと同時に、「頑張らないと」と思いました。親御さんからのアンケートはとても励みになっています。
反対に大変だった保育は、男の子で将棋をしたいというお子さんがいらっしゃったんですが、私は苦手だったのでとても大変でした。教えてくれたり、説明書きを書いてくれたりしましたが、うまくできず(苦笑)。オセロなどボードゲームが好きなお子さんは多いです。チェスは今までで2回くらいありましたが、難しいですね。私自身が得意なのは、折り紙と読み聞かせです。今までの保育補助やファミリーサポートの経験だけでなく、子育て経験も土台になっていると感じます。
久保田さんが病児保育で大事にしていることは何ですか?
お子さんが、普段通りにリラックスして過ごせるように意識して接しています。そのためには、まずは自分がリラックスすること。保育者の緊張や焦りは絶対にお子さんに伝わってしまうので、広く大きく受け止めることを意識しています。
お子さんは毎回初めての、会ったことがない人に預けられるのですから、人見知りや不安も当然あります、親御さんと離れるときに泣いてしまうこともあります。そこで「どうしよう泣き止ませなきゃ」ではなく、「泣きたいときは泣いていいよ」という心で、気持ちが切り替えられるように声をかけています。お子さん・親御さんへの接し方は基本的には変わりません。あるがままを受け止める、というのが基本姿勢です。
時には「失敗だったな」と思うこともあります。毎日反省点は何かしらあるのですが、引きずらないことが大切だと思っています。私自身は、一晩寝たら割と大丈夫なタイプですが、くよくよと悩んでしまう方だと、少ししんどいかなと思いますね。
ご自身の子育て経験と通ずる部分はありますか?
我が家には、現在高1と高3になる男の子がいます。小さい頃から元気でやんちゃだったので、そういった活発なお子さんに出会っても動じることはないですね。保育中に自分の子どもと重ねて見ることはないですが、やんちゃな子に出会ったりすると可愛いなと思います。私自身が子育てで大事にしていることは、子どもを尊重して応援すること。子どもが素直に自分の気持を出せるように受け止めてあげる、という点です。保育中に、どんと構えて、お子さんの気持ちを受け止めるという姿勢は通じているかもしれません。
私も、ずっと子育てと仕事を両立してきましたが、やはり時間のやりくりは大変です。小学校の時からPTA活動に参加していますが、子どもの学校での様子を知り先生との関係もできることに良さを感じて、今も役員をやっています。完璧に両立するのは難しいので、家事は手を抜きつつ、ですね(笑)
子どもが中学生の時に、親の仕事をインタビューして新聞記事を作成する授業があって、子どもに仕事内容について話したことがあります。母の仕事を知ってもらえるのは嬉しかったですね。自分の子どもも小さい子が好きなので、興味を持ってくれたのかもしれません。今でも時々「今日のレスキューは楽しかった」なんて話をすることがあります。下の子が1歳になる前から働いているので、子どもは母が働くのが当たり前だと思っているんじゃないかな。家族には感謝しています。
どのお子さんも心から「可愛い」と思えます。
今後の抱負について教えてください
保育士資格は持っていないのですが、フローレンスの病児保育では、(※)バッジ制度というステップアップ制度があります。最初のバッジをとるまでは、全く順調にはいきませんでした。どうしても緊張してしまって、いつも通りの保育ができなくて…。でも、この制度によって、自分に何が足りないのか分かったり、アドバイスをもらってステップアップしていけるので、とても良い機会だと思って取り組んでいます。最近1番上の発達支援バッジに合格しました。発達支援バッジを取ると、障害があったり、慢性疾患をお持ちの発達支援プランのお子さんの保育にあたることができます。今後もどんな病状のお子さんにも、細かな気づきを大切に手厚い保育をしていきたいです。発達支援バッジを取得したことで、障害のあるお子さんのレスキューを担当する機会もあると思うので、どんな出会いがあるか楽しみにしています。
また、バッジ制度を通して、新人育成に携わることができたのは、とても大きなやりがいにつながっています。研修生に指導することで、自分の日々の保育も振り返ることができて、自分のためにもなっています。研修担当として気をつけているのは、全部教えるのではなく研修生の力を引き出すことですね。私自身も、今後認定病児保育スペシャリストの資格取得を目指しています。学ぶことは、この仕事を続けていく上でプラスになると思っています。
(※)スキルや経験に応じて、新人育成や既往歴のあるお子さんの保育を担当できるようになる、フローレンスの病児保育独自の認定制度
応募を検討している方へ一言お願いします
私がフローレンスに応募した時は、お子さんに関わりたいという気持ちだけでしたが、今では、ずっとこの仕事を続けたいと思っています。毎回出会う、どのお子さんも心から「可愛い」と思えます。そういった点で、この仕事に向いていたのかもしれません。どのお子さんにもそれぞれの可愛さがあって、大変な保育であっても、可愛くないと思ったことは、今まで一度もありません。毎日「明日はどんなお子さんだろう」と楽しみで、夜に依頼の予約が入ると明日は何をして遊ぼうかと考えています。子どもが好きだということを、この仕事を始めて再認識しました。
朝はお互い緊張していても、帰るときは打ち解けて笑顔で終えることができるのが、この仕事の魅力です。毎回同じ保育はないので、「一期一会の出会いが好きで、その出会いを楽しめる方」には向いているお仕事じゃないかな、と思います。
私も入社して間もない頃、思うように保育ができなかったり、失敗したり、落ち込むことも多々ありました。そんな時に話を聞いてくれる仲間たちがいてくれたおかげで、今の私がいます。 「どうしようかな?やっていけるかな?」と迷っている方、ぜひ思い切って飛び込んでみてください。フローレンスは思いやりに溢れたスタッフが大勢いますし、まだまだ発展途上です。一緒に働き甲斐のある職場を作りましょう!
インタビュー途中に、久保田に急な病児保育の依頼が。「レスキュー(※病児保育)のご依頼です!」という事務局スタッフの言葉に、笑顔で「はい!了解です!」と応えて、颯爽と依頼先に向かう久保田。同僚ながら、思わず「かっこいい…」と感じた瞬間でした。