小さい時から保育園の先生になるのが夢だった杉山。
保育園の専門学校には通っていましたが、妊娠をきっかけに一時勉強を中断。
その後、3人の出産を経て、子どもの保育園入園のタイミングで保険営業の仕事を開始。
やはり、保育士の夢は諦められず、一番下の子どもが小学校へ入学するタイミングでフローレンスへ入社。
こどもレスキュー隊員(※)として病児保育の現場を経験し、その後病児保育室フローレンス豊洲のオープンにあたり、こどもレスキュー隊員と病児保育室の兼務を開始。
そして、フローレンスの病児保育の経験をもとに、2019年に念願の保育士資格を取得。
この度、小さい頃からの夢である保育士になるべくフローレンスを卒業。
※フローレンスでは訪問型病児保育スタッフのことを「こどもレスキュー隊員」という愛称で呼んでいます。
「保育士」の資格を取得するためにフローレンスへ入社
フローレンスへ入社したきっかけ、決め手を教えてください。
保育士の夢は持ち続けていたものの、保育士資格を持っていなかったため、保育園でのお仕事がなかなか決まりませんでした。
そんな中、「子育て・育児経験が資格」というフローレンスの病児保育のお仕事を知り、保育士資格がなくても、保育の実務経験を積み、そしてスキルアップすることができる!と思い、応募しました。
入社前は正直「社会のために」「社会貢献」という意識はそこまで持っていなかったのですが、入社後に代表の書籍を読んだり、障害児保育など病児保育以外の事業の取り組みを深く知ることで、社会にはこんなにもやらなきゃいけないことがあるのかと気付かされました。
そして、社会のために、自分ができることをもっとやってみよう!という気持ちが強くなりました。
保育士資格がないことへの不安はありましたか?
子育て経験しかないので確かに不安はありましたが、面接の中でも病児保育のお仕事について丁寧にお話いただいたり、ロールプレイを通して細かいところまで見てくださっていることが伝わったので、逆に安心しました。
「こんな風に仕事をするのだろうな」と、より具体的にイメージを持つことができたので、ワクワクした気持ちになったのを覚えています。
病児保育の現場経験を重ねる中でも、気持ちの変化はありませんでしたか?
病児保育の現場経験を重ねる中で、いろいろなご家庭があるのだと訪問する度に実感しました。
ご両親が支え合ってお子さんに寄り添っているご家庭もあれば、お母さんお一人で必死に頑張っているご家庭もあります。
病気のお子さんを一人で保育することへの不安が募るというよりは、さまざまな事情を抱えているご家庭の助けになりたい、少しでも力になりたいという気持ちの方が強かったので、入社後もあまり不安な気持ちになることはありませんでした。
病気が嫌な思い出にならないためにできること
マンツーマンで保育するにあたって、大切にしていることは何ですか?
お預かりしているお子さんの「命」への責任、そして病気が嫌な思い出にならないように、その日1日はそのお子さんのためにじっくり寄り添うことです。
親御さんの代わりになることはできないけれども、その日1日は「私がお母さんだよ」という気持ちでお子さんのそばに寄り添い、「この子のために何ができるだろう」を考えています。
お子さんも体調が優れない状況で、親御さんと離れることへは不安な気持ちがあると思います。
「そばにいるよ」と私自身の気持ちを素直に言葉としてお子さんへ伝えたり、まだ言葉の通じない小さなお子さんの場合には抱きしめたり、少しでも不安な気持ちが和らぐような保育を心がけています。
また、少しでもお子さんが楽しく過ごせるように、私自身も保育を楽しむことを徹底しています。
その日に出会った、病状もさまざまなお子さんに寄り添うことは難しくないですか?
「少しでも早くお子さんのことを感じ取ること」を心がけています。
今どんな風に思っているのか、どんな気持ちなのかを表情やそのちょっとした変化を見逃さないようにしています。
連日同じお子さんの保育に入ることもありますが、「その日のお子さんを理解し、その日のお子さんのためにできる保育を精一杯やること」が何よりも大切だと思っています。
打ち解けるまで時間のかかるお子さんはもちろんいますが、そのお子さんのペースに合わせることが大切ですので、難しいと感じたこともありません。
打ち解けるまで時間のかかったお子さんが膝に座ってくれたり、帰りがけにタッチをしてくれたり、それだけで嬉しい気持ちになります。
きっとその想いは保育を通してお子さんにも届いていますよね!
母子家庭のご家庭へ訪問した際のエピソードですが、お子さんと毛布にくるまってのんびりと図鑑を読んでいたら、ふとお子さんから「幸せな時間だね」と言われたことがありました。
その日の朝は親御さんも忙しそうに家を出られたこともあり、きっと不安や寂しさがあったのだと思います。
その時は、そばに寄り添うことで少しでも安心してほしいという想いで自分にできることをしただけですが、まさかそんな嬉しい言葉を言ってくれるとは思いもしませんでした。
こういったお子さんからの言葉はやりがいにつながりますし、逆にお子さんから元気をもらっていると実感しています。
しかも、その後に病児保育室でたまたまそのお子さんとお会いすることがあり、私のことを覚えていてくれたのです!
フローレンスの病児保育の一期一会の出会いではありますが、それはお子さんにとっても同じこと。
お子さんにとって、その日1日が良い思い出となって良かったとホッとしました。
私にとってもその日の経験は宝物です!
こういった嬉しいエピソードは他のこどもレスキュー隊員にも共有していますか?
研修時や同じグループ(※こどもレスキュー隊員は、13~15名ほどの人数でグループ(組)に分けられています)の中などで、他のこどもレスキュー隊員の「こんな嬉しいことあった」という話を聞く機会もたくさんあります。
マンツーマン保育のため現場で対応するのは基本的には一人ひとりですが、他のこどもレスキュー隊員の嬉しいエピソードを聞くのは楽しいですし、自分自身のやりがいにもつながっています。
「訪問型」「施設型」両方の病児保育を経験して学んだこと
「訪問型の病児保育」という仕事を通して成長したことはありますか?
もちろん病気に関する知識はたくさん得られたのでスキルアップにつながりましたが、何よりも「お母さん力」です!
朝早く訪問しても、お子さんの症状や状態に合わせたご飯の準備がされていたり、親御さんの大変さを目の当たりにしました。
それはやはり各ご家庭に訪問する「訪問型」であるからこそ経験できることで、尊敬する親御さんにたくさん出会うことができました。
お子さんのために一生懸命対応される親御さんの姿を見て、「私もこれやってみようかな」など自分自身の子育てへの影響力を感じましたし、たくさんのことを学ばせていただきました。子どものスケジュール管理など、実践していることはたくさんあります。
施設型(病児保育室)も経験されていますが、学んだことに違いはありますか?
訪問型と施設型とでは保育に対する目線が全く異なるので、得られることも難しさを感じる場面もそれぞれです。
マンツーマンの訪問型は、その日1日をそのお子さんのためだけに愛情を存分に注ぐことができますが、施設型の病児保育室は、保育以外の業務も対応する必要がありますし、お子さん一人ひとりの病状が異なるものの、ひとつにまとまっていなければいけない難しさがあります。
そのため、施設型はお子さん同士のかかわりや大人と子ども、スタッフ間のコミュニケーションがとても大事です。
ただ、マンツーマン保育と異なり、施設型では子ども同士のコミュニケーションを通して、そこから芽生えるものがたくさんあり、大人だけでは気が付かなった新たな発見もあるので、子どもたちから学ぶことがたくさんあります。
「訪問型」「施設型」それぞれの経験は生かされていますか?
マンツーマンの病児保育では、他のこどもレスキュー隊員の保育の様子をじっくり見る機会は少ないですが、病児保育室では間近で見ることができます。
そのため、病児保育室では他のスタッフの保育の様子を見てスキルを磨いていました。
そこで得たスキルをマンツーマンの病児保育で実践していたので、それぞれの経験がとても活かされていたと実感しています。
また、病児保育室で学んだことは、こどもレスキュー隊員にも共有しており、「訪問型」「施設型」問わず、みんなで学んでいける体制がフローレンスには整っていると思います。
小さい頃からの夢である「保育園の先生」に・・・
今後、保育園で勤務されることになりますが、フローレンスの病児保育の経験を生かして、どんなことを実現していきたいですか?
保育園では、1年を通してお子さんの成長を見ることになります。
今までの病児保育というお仕事は「1日」という短いスパンでの関わりでしたが、今後は長い目でお子さんの成長に寄り添っていくという責任感をひしひしと感じています。
お子さんの「個」やお子さん同士の関わりにどう関わっていくのか、いろいろな視点が必要になってくるので、今は本を読んで勉強しています。
本の通りにはいかないこともたくさんあると思いますが、周りの先生たちからもたくさん学んでいきたいと思っています。
子どもたちがお友だちのことを思いやる、そんなクラスを作っていけるような先生になりたいです!