2025年11月9日に「スタッフが本音で語る 障害児・医ケア児支援の仕事」トークイベントを開催しました。
今回の記事では前後編と2記事にわたり、そのトークイベントの様子をお伝えしています。前編では「具体的な仕事内容」「チームの雰囲気」「他の施設と比べた時の違いとは?」について語ってもらいました。

後編では印象に残っているこどもたちのエピソード、フローレンスで働く魅力、それぞれの現場に向いている人とは?をお届けします。ぜひ後編もご覧ください!
印象に残っている、こどもたちとのエピソードを教えてください。

アニーでは「交流保育」といって、近所の保育園に伺ってこども同士で交流することがあります。
その日、わたしは重度心身障害のある担当のお子さんを抱っこしながら参加していたのですが、保育園のこどもたちが声をかけてくれたんです。「UNOやろー!」って。
そして一緒にUNOをすることになり、わたしはその子の「代理プレイヤー」として参加したのですが、連敗してしまってその子がちょっと不機嫌に(笑)。次のゲームで勝ったらニコッと笑ってくれて、でも最後は逆転負けして「負けちゃったね〜」と声をかけたら、ちょっとふて寝な感じで寝てしまって。
言葉を直接やりとりすることはできないのですが、その時はその子と「楽しい」「悔しい」といった感情を一緒に味わえた感覚がありました。それが今でも強く印象に残っています。

今年の5月に新聞あそびをしたとき、ヘレンならではの工夫を強く感じました。
前職でも新聞あそびはやっていましたが、ヘレンではまず部屋を暗くして「新聞の音を聞いてみましょう」からスタート。
最初は「えっ、そんな始まり方ある?!」と驚きましたが、研修などを通して、たくさんの感覚を同時に処理することが難しいお子さんもいると知り、まず聴覚に集中できる環境をつくっていたのだと理解しました。
この「提供する刺激を絞る」という考えは、いろいろな発達の子が通うヘレンだからこそのアプローチだと思います。
一般的な保育園でも行う遊びを、こうしてお子さんに合わせて丁寧に組み立てていくスタイルに、ヘレンの特徴がよく表れていると感じ、とても印象に残りました。

このあいだ、横浜チームとして初めて家族も含めた交流のためのイベントを開催しました。
普段のご自宅訪問ではできないことをやろう!ということで、新聞プールやウォーターベッド、絵の具あそびなど、スタッフみんなで準備しました。
当日は、ご家庭では見られないようなこどもたちの表情がたくさん見られて、とても良い時間になりました。 特に、こどもたちがウォーターベッドの上で揺られながら気持ちよさそうにしていた姿は忘れられません!
遊んだあとは、ご家族やスタッフで話せる懇談会も開催し、「知りたかったことが聞けて安心した」という声も多く、後日の訪問でも「交流会の話が参考になったよ」と言っていただけました。
正直準備はとても大変だったんですが、当日の楽しさとご家族の喜びを感じ、すべて報われた気持ちになりました。

フローレンスで働く魅力を教えてください!

アニーのように、ご自宅で医療的ケアが必要なお子さんを保育できる場所って、実はなかなかありません。だからこそ、アニーはとても貴重な存在だと思っています。
組織全体がすごくフラットで、あだ名で呼び合う文化もわたしはすごく好きです。立場に関係なく話しやすくて、困ったときもすぐ相談できる。そういう雰囲気の中で働けるのは、本当にありがたいなと思っています。

フローレンスに決めた理由は、見学や面接のときに出会った園長先生の雰囲気がとても良く、「困ったときにこの人たちに相談できそう」と自然に思えたからです。
実際に働き始めてもその印象は変わらず、先輩方は本当に優しく、いつも細かく気にかけてくれます。
わたしがリーダーをした日は「今日ここ良かったよ」など前向きな言葉をもらえます。良かったところも改善したいところも、お互い自然に伝え合える文化があって、とても心地よいんです。
そして…同じくらい大切なこととして…残業がほとんどない!(笑)
福祉の仕事は忙しいイメージがあると思いますが、フローレンスはシフト通りに帰れるので、わたしは手芸などの趣味の時間が増えました。仕事も私生活も大切にできる働き方ができて、その点は本当に転職してよかったと感じています。

ナンシーでは在宅で暮らしているお子さんを訪問するのですが、わたしが最初に担当したお子さんは、他の事業者の訪問が一切入っていなくて、在宅での支えがナンシーだけ、という状況でした。
あるとき、そのお子さんが発熱してしまって、1週間ほどナンシーの訪問が入れない日が続いたんですね。そのあと久しぶりに訪問したとき、帰り際に保護者の皆さんが「久しぶりに休めました。ありがとうございました」と声をかけてくださって…。
その一言が本当に嬉しくて、「ああ、わたしがやりたいと思っていたことって、これなんだ」と心から思った瞬間でした。
最後に、どんな人がそれぞれの現場に向いているのでしょうか?

「どうしようかな…」と考える前にまず「やってみよう!」と思える人だと思います。
アニーの保育はこどもの「やってみたい」という気持ちを大事にしているので、先生たちの「叶えてあげたい」という気持ちが重要です。なので、バイタリティのある方はすごく向いていますね。
それから、ご家庭に入って 1対1で保育をするので、親御さんの状況や考え方は本当に100人いれば100通りです。「ここは絶対こうだから」と決めつけるのではなく、しなやかに受け止めて臨機応変に対応できる人が合っていると思います。

ヘレンでは、療育や障害児保育の経験がなくても、保育園での経験がある方ならすぐに力を発揮できると思います。というのも、わたし自身は保育園経験がほとんどなく、幼稚園や療育など「教育寄りの現場」出身でしたが、入ってすぐに「保育園は生活が主体なんだ」と気づかされたからです。
保育園の先生は、生活の中で発達を引き出す引き出しが本当に豊か。季節を感じる活動や、長い時間をどう心地よく過ごすかなど、そうした経験はヘレンでも大きな強みになります。
医療的ケアや専門的な視点は必要になりますが、そのプラスアルファは入社後の研修や日々の実践で十分に学べます。わたしも入社してから1つずつ吸収してきました。
大事なのは、完璧に備えていることよりも「こどもたちのために学び続けたい」という気持ち。前向きに学べる人は、ヘレンでとても活躍できると思います。

ナンシーはご家庭への訪問が中心なので、公共交通機関での移動や、療育グッズをたくさん詰めた重い荷物を持って移動する大変さはあります。
でもそのうえで「こどもが好き」という気持ちがある人には、本当に向いている仕事です。実際、ナンシーには療育が初めての看護師も多く、遊び方やお子さんに合う工夫を、少しずつ探りながら身につけていきます。
SNSでアイデアを探したり、手作りのおもちゃを試したり、試行錯誤しながら関わっていく中で、遊びが「ぱちっ」とハマる瞬間があるんですね。そのときの喜びはすごく大きいです!
だから、こどもの小さな成長や変化を一緒に喜べる人にとっては、とても向いているお仕事だと思います。
3人の話を聞いて感じたのは、ヘレン・アニー・ナンシーのどの現場にも「こどもとご家族に寄り添う仕事」ならではの大きなやりがいがある、ということでした。
大変な場面もありますが、その分、こどもの笑顔やご家族の安心、自分自身の成長が日々の力になります。
もし「こどもが好き」「誰かの生活を支えたい」と思っている方がいれば、今回のレポートが少しでも参考になっていただければ嬉しいです。
ヘレン・アニー・ナンシーで、一緒に働いてみませんか?
今回のトークイベントを通して、「もう少し詳しく知りたいな」と思ってくださった方は、ぜひお仕事紹介や園見学のご参加もお待ちしています。みなさんとお会いできる日を楽しみにしています!




