対談・インタビュー

保育・看護スタッフが本音で語る!障害児・医ケア児支援のおしごとトークイベントレポート(前編)

対人支援職(保育スタッフ)
対人支援職(看護スタッフ)
    障害児・医療的ケア児家庭支援

このたび、2025年11月9日に「保育・看護スタッフが本音で語る!障害児・医ケア児支援のおしごとトークイベント」と題したイベントを開催しました。

当日は、「障害児保育園ヘレン」「障害児訪問保育アニー」「医療的ケアシッター ナンシー」で活躍する保育スタッフ・看護師の3名が登壇。

今回と次回の2記事にわたり、このトークイベントの様子を前後編でお届けします。前編では具体的な仕事内容やチームの雰囲気、また他の施設と比べた時の違いとは?について語ってもらいました!

今回登場したのは、この3人!

まるちゃん先生(障害児訪問保育アニー・保育士)

まるちゃん先生(障害児訪問保育アニー・保育士)

自身の産後に、こどもと関わる仕事をしたいと思い、保育士資格を取得。保育園に勤務している時に、お散歩先でヘレンのお子さんを見かけて障害児保育問題を知り、2019年4月より現職。

さやか先生(障害児保育園ヘレン・保育士)

さやか先生(障害児保育園ヘレン・保育士)

幼稚園教諭として勤務した後、児童発達支援センターの職員として勤務。こどもたちの発信をより丁寧に受け止める現場で働きたいと考え、2025年4月にフローレンス入社。こどもたちの笑顔と成長が日々のモチベーション!

わたちゃん(医療的ケアシッター ナンシー・看護師)

わたちゃん(医療的ケアシッター ナンシー・看護師)

NICU・GCU、小児科病棟などでの勤務を経て2024年にフローレンスへ入社。現在は医療的ケアが必要なこどもたちのご家庭を訪問し、ケアだけでなく遊びや発達支援にも力を入れながら、一人一人とじっくり向き合う日々を送っている。 ご家族の休息のサポートとこどもの小さな成長に寄り添う支援を大切にしている。

日頃どんな仕事や一日の過ごし方をしているのでしょうか?

まるちゃん先生(アニー保育士)

わたしは障害児訪問保育アニーで保育スタッフとして、基本的には毎日同じお子さんのご自宅に伺い、1対1の保育をしています。日中はお散歩に出かけたり、お昼ごはんを一緒に食べたり、お昼寝のあとに制作遊びをしたりという流れで1日を過ごしています。

日々の保育の中では、保護者の皆さんのご相談をうかがうこともありますし、医療面で気になることがあれば看護師につなぐこともあります。

さやか先生(ヘレン保育士)

わたしは障害児保育園ヘレンで保育スタッフとして、当日の活動を進行するリーダーを務めたり、担当するお子さんについて、生活や遊びの中でどのような支援を取り入れるかを計画しています。また、保護者の皆さんの窓口として日々のやりとりを行い、こどもたちが安心して過ごせるような環境づくりにも関わっています。

夏は水遊びをしたり、普段は小麦粉粘土や制作など…一般の保育園と同じような遊びも多く取り入れています。ヘレンには医療的ケアが必要なお子さんが通っていますが、毎日の過ごし方はとても「保育園らしい」雰囲気なんですよ。

わたちゃん(ナンシー看護師)

わたしは医療的ケアシッター ナンシーで看護師として働いています。ナンシーは看護師が医療的ケアを必要とするお子さんのご自宅に訪問するサービスです。1回2〜3時間、午前と午後で1日2回訪問しています。1週間だとだいたい7回くらい訪問していて、空いている時間は療育の準備や書類をまとめたりしています。

訪問中は、気管切開や人工呼吸器の管理、吸引、経管栄養などの医療的ケアをしつつ、お子さんと一緒に制作をしたり絵本を読んだり、宿題をしたりもしています。

あとは、通学支援や保育園の送迎のような移動支援に入る日もあります。車が揺れる中で吸引が必要になったりと大変なこともあるんですけど、学校や保育園でのお子さんの姿が見られるのは、嬉しいところですね。

それぞれのチームの雰囲気を教えてください!

まるちゃん先生(アニー保育士)

アニーは1対1の保育なので、チームと聞くと少しイメージしづらいかもしれないんですが…お子さん1人につき「◯◯ちゃんチーム」という形でチームが組まれていて、個別にお子さんについて相談や共有を行うチャットグループが作られています

そこで今日の様子や心配なことを共有したり、緊急時はすぐに看護師にかけつけてもらったりと、相談できる仕組みになっています。

チャットでは業務連絡だけじゃなくて、日常のちょっとしたことも気軽に書きます。「今日はこんなかわいいエピソードがあったんですよ~」と送ると、みんながグッドボタンを押してくれたり、いろいろなリアクションを返してくれます。

1対1の保育なんですけど、こういうやりとりがあることで、1人じゃないっていう安心感があって、すごく優しい雰囲気のチームだなと感じています

さやか先生(ヘレン保育士)

わたしが所属する園は、みんな明るく優しくて、笑顔の多いチームだと思っています。保育プログラムは保育スタッフが中心で考えるのですが、看護師もよく「これ面白そうじゃない?」とアイデアを出してくれます。

このあいだのハロウィンでは、お菓子を渡す役を看護師にお願いしました。プログラムの進行等は保育スタッフの役割ですが、そうした形で看護師も一緒に保育を行っています。魔女のコスチューム姿で登場してもらって、すごく盛り上がりましたよ。

保育スタッフだけが保育を考えるのではなく、みんなでアイデアを持ち寄る雰囲気があって、スタッフそれぞれが自分の子育て経験や得意なこと、知識を活かしながら保育をつくっています

わたちゃん(ナンシー看護師)

ナンシーは訪問エリアごとにチームが分かれていて、そのひとつである横浜チームにわたしは所属しています。そこは和気あいあいとした雰囲気で、困ったときにはすぐに声をかけ合える関係ですね。

訪問は直行直帰なので、基本的に1人で動く日が多く、対面で会う機会は少ないんです。だから普段のコミュニケーションはチャットが中心で、お子さんの今日の様子や気になることを共有するのがメインになっています。

その合間に、ちょっとした雑談も混ざる時もあります。「さっき通った道でロケしてたよ!」みたいな話題が出て、みんながそれに反応したり(笑)

そして毎週金曜日には会議室を準備して、対面で実施する定例ミーティングを開催し、みんなで直接顔を合わせて話せる時間も大事にしています

他の施設と比べたときの「違い」はどこにありますか?

まるちゃん先生(アニー保育士)

アニーでは担当するお子さんの「個別計画」を立てて、オーダーメイドで保育を組み立てていくところが特徴です。

わたしは以前、健常のお子さんが通う保育園で働いていたことがあるのですが、そのときは「1歳児の目標」「2歳児の目標」のように、年齢ごとの目標がある程度決まっていました。でもアニーでは、お子さんの発達の状況が本当に1人1人違うので、その子にとって最適な目標を個別に立てていくんですね。そこは働いていて、大きな違いだと感じるところです。

わたしは医療的ケアのあるお子さんの保育は初めてで不安もあったのですが、アニーでは看護師がわたしたちが医療者ではないことを前提に、担当のお子さんが決まると疾患について丁寧に教えてくれます。ただ、同じ疾患でもお子さんの状態はそれぞれなので、実際に担当のお子さんと関わりながら相談を重ねて理解を深めていけるので、「学びながら挑戦できる環境」であることも、ほかの施設との大きな違いだと感じています。

さやか先生(ヘレン保育士)

保育の考え方は一般的な保育園と大きく変わりません。しかし、通っているお子さんの特性は本当にさまざまで、その子に合わせて個別的・専門的に支援していくところが大きな違いだと感じています。

医療的ケアが必要なお子さんのケアは看護師が行います。ただ、保育スタッフとして集団の中で活動を進めるには「誰がどんなケアを必要としているか」をしっかり把握しておくことが求められます

例えばハロウィンで「隣の部屋にお菓子をもらいに行く」という案が出たときも、呼吸器を使用しているお子さんは移動が難しい場合があります。そういったときは「今日呼吸器は外せる?」「体調は大丈夫?」と事前に看護師へ必ず確認しながら進めます。

このように、集団保育の楽しさを大切にしつつ、1人1人に寄り添った支援を丁寧に考えていく。そこがヘレンならではの保育だと感じています。

わたちゃん(ナンシー看護師)

ナンシーが他の訪問看護や病院と違うところは、まず訪問のスタイルですね。基本的に1日2件で、1件あたり2〜3時間の長時間訪問なんです。他の訪問看護だと1日に何件もまわるところが多いと思うので、お子さんとじっくり関われるのが大きな違いだと思います。

あと、病院との違いだと、夜勤やオンコールが無いところ!これは本当に大きいです。夜しっかり休めます。

一方で、こどもと遊ぶために持参したおもちゃを持ちながら、公共交通機関で移動するときに大変に感じる時もあります。時間帯によっては混雑している電車に乗らなきゃいけなかったり…。

でも、1人1人のお子さんと丁寧に向き合える時間があるのが何よりも魅力で、そこは大きな違いだなと思います。

後編では印象に残っているこどもたちのエピソード、フローレンスで働く魅力、それぞれの現場に向いている人とは?をお届けします。ぜひ後編もご覧ください

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