対談・インタビュー

ヘレンのプールで遊ぼう!こどもの「楽しい」をかなえるチームの力

対人支援職(保育スタッフ)
対人支援職(看護スタッフ)
    障害児・医療的ケア児家庭支援

障害児保育園ヘレンの夏といえば、こどもたちが大好きなプール。
水の感触に目を輝かせ、ぷかぷかと浮かぶ心地よさに思わず笑顔がこぼれる…その時間は、こどもたちにとってもスタッフにとっても、かけがえのないひとときです。

ヘレンの保育は、いつも「遊び」から始まります。「楽しい!」という気持ちを出発点に、一人一人のペースに寄り添いながら、さまざまな体験の場を広げていきます。

そして「障害児保育園でプール?」と驚く人もいるかもしれません。
たしかに、医療的ケアが必要なこどもや、体の動きにサポートが必要なこどもにとって、水遊びは安全面の配慮が欠かせない活動です。
それでもヘレンがプール活動を続けるのは、水の中でしか味わえない感覚や体の使い方を通して、こどもたちの世界を広げたいと考えているから

ヘレンでは、保育スタッフ・看護師がそれぞれの専門性を生かし、密に連携を取りながら準備から実施までを支えています。誰か一人ではなく、チーム全体で「どうすれば安全に、楽しくできるか」を考え抜いているからこそ、安心してプール活動を行うことができるのです
そんなヘレンならではのプール活動をご紹介。今回は室内で行っている経堂園と、屋外で行っている中村橋園、2つの園の様子をレポートします!

経堂園:役割と専門性がつくる安心の水あそび

こどもたちが大好きな、滑り台のついた大きなプール!
こどもたちが大好きな、滑り台のついた大きなプール!

ヘレン経堂園では、室内にビニールプールを設置してプール活動を行っています。もともとは屋外でのプール活動を行っていましたが、今年からは施設の事情により屋外が使えなくなりました。
しかしそこで活動を諦めるのではなく、こどもたちが大好きなプールを、どうやったら今ある環境のなかで実現できるかをスタッフたちで考え、現在の形となりました。

プール活動の前には、こどももスタッフも一緒になってラジオ体操で体をほぐします。
プールが大好きな子は体操の途中で、もう水の中に入りたくてうずうず…!

スタッフが「まだだよ〜!」と笑いながら声をかけると、こどもたちは笑顔でストレッチを続けます。体も心もすっかりウォーミングアップが整ったら、いよいよ待ちに待ったプールの時間です。

プールの水はこのタンクからポンプで吸い上げる形で注いでいます。水、お湯のタンクが用意されていて、プール内の水温が常に適温になるよう細かく調整しています。
プールの水はこのタンクからポンプで吸い上げる形で注いでいます。水、お湯のタンクが用意されていて、プール内の水温が常に適温になるよう細かく調整しています。

こどもたちはプールに入ると、さっそく両手で水をすくってパシャパシャ。感触を確かめるように、何度も水をすくっては笑顔を見せていました。

そしてスタッフたちに目を向けると、保育スタッフも看護師も区別がつかないほど、みんな自然に動きながらこどもたちをサポートしています。でも、その裏ではしっかりとした役割分担があります

たとえば、こどもにじょうろでシャワーをかけるのは看護師の仕事。気管切開のある子が安心して水と触れ合えるように、切開部分に水が入らないよう慎重に角度を調整しながら行います。水温や体調のチェックも欠かしません。

保育スタッフは、水の中のこどもと目線を合わせながら遊びを広げます
「気持ちいいね」「もう少しやってみようか」と優しく声をかけながら、こどものペースに寄り添います。

看護師がじょうろを使って、こどもに優しく水をかけています。
看護師がじょうろを使って、こどもに優しく水をかけています。

プール遊びのあとはシャワータイム。どのこどもから浴びるかは保育スタッフが順番を決め、声をかけます。「最初はこの子、次はあの子」と、てきぱきと指示しながらスムーズに進行。保育スタッフがリーダーシップを取り、看護師と連携しながら、安全に配慮しつつ次のアクティビティへ移ります

プール対応から離れるスタッフは「離れまーす」と声をかけ、こどもから目を離さないようチーム全員で状況を共有。小さな声かけや確認が積み重なり、自然とスムーズな連携ができていました

中村橋園:水の特性を活かした発達支援の場

こどもたちもたっぷりの水でのびのびと楽しんでいます!
こどもたちもたっぷりの水でのびのびと楽しんでいます!

広い屋外スペースを活かして、たっぷりの水を使ってよりダイナミックな活動ができるのが中村橋園です。

水の中に入るのは主に保育スタッフ
看護師はプールサイドでこどもたちの体調や水温、気温をこまめにチェックしながら、安全面をしっかりと支えています

看護師と一緒にお湯を足しながら、水温を調整する園長先生。プールの時間は、スタッフ全員でこどもたちを見守りながら進めていきます。
看護師と一緒にお湯を足しながら、水温を調整する園長先生。プールの時間は、スタッフ全員でこどもたちを見守りながら進めていきます。

保育スタッフによると、「水の中は、体に負担をかけずに動くことができるのが魅力。浮力のおかげで体が軽くなり、緊張がほぐれ、普段は難しい動きも自然とできるようになります。」とのこと。

実際、ぷかぷかと浮かびながらリラックスする子、浮き輪に体を預けてゆらゆら揺れるうちに 気持ちよくなってあくびをする子など、その表情はとても穏やかです。
中には、あまりの心地よさにウトウトしてしまう子も…!

こうした遊びの中には、からだや感覚を育てる工夫も散りばめられています
たとえば、浮き具を使って一人でぷかぷかと浮く経験もそのひとつ。
そして、プールの縁を使って足を曲げ、キックで体を伸ばす動きは、体のバランスを取る感覚を育てます。

プールは2〜3人ごとに順番に入っていきます。室内でこどもの準備をしているスタッフが「次の子、準備できたよー」と声をかけると、外にいる園長先生ががすかさず「あいよー!」の返事。連係プレイで進行していきます。
プールは2〜3人ごとに順番に入っていきます。室内でこどもの準備をしているスタッフが「次の子、準備できたよー」と声をかけると、外にいる園長先生ががすかさず「あいよー!」の返事。連係プレイで進行していきます。

水の抵抗が適度な運動を促し、楽しみながら体を動かすうちに筋力や体幹も少しずつ育っていきます。そんな小さな動きや反応のひとつひとつが、こどもたちの「自分でできた!」という実感につながっています

ヘレン中村橋 園長

役割は違っても、「安全に」「楽しく」っていう思いはみんな同じ。声をかけ合いながら、自然に支え合ってる感じですね!

遊びの背景にある、チームの力

経堂園のように室内で工夫を重ねる園もあれば、中村橋園のように屋外でダイナミックな活動を行う園もあります。
環境も条件も異なりますが、どちらの現場にも共通しているのは、こどもの「楽しい」を中心に考える姿勢です

限られた環境の中でも、「どうすればより安心して楽しめるか」「どんな工夫をすればその子らしい体験になるか」。 スタッフ同士が意見を出し合い、それぞれの専門性を生かしながら、最適な形を探っていきます。その背景には、保育・看護・リハ職といった多職種が日常的に連携し、 互いの視点を尊重しながら支え合うチームの関係性があります。
だからこそ、こどもたちが安心してのびのびと遊び、笑顔を見せられる時間が生まれているのです。

11/9(日)@神保町オフィスでトークイベントを開催します!

今回紹介した「障害児保育園ヘレン」の保育スタッフも登壇する、トークイベントを開催予定。現在絶賛受付中です。ふるってご参加ください!

保育・看護スタッフが本音で語る!「障害児・医ケア児支援のおしごとトーク」

保育・看護スタッフが本音で語る!「障害児・医ケア児支援のおしごとトーク」

【参加無料/11月9日(日)@神保町】
障害児保育のすべてを一度に知るチャンス!

障害児保育園ヘレン・訪問保育アニー・医療的ケアシッター ナンシーで働くスタッフが、こどもたちとの日常や仕事のやりがいを「本音」で語ります。

「どんなこどもたちと関わっているの?」「私にもできるのかな?」そんな疑問にざっくばらんにお答えします。

現場の声を直接聞けるのは、このイベントだけ。支援の仕事のリアルを感じられる貴重な機会を、どうぞお見逃しなく!

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