こんにちは。ハタカク(働き方革命事業部)の二河です。
みなさん、昨日は何時に退社しましたか? 私は11月から時短勤務をしており、17時に即ダッシュで帰りました。こどものお迎えと夕飯の献立考えるのが大変。
フローレンスの本部事務局では、去る2015年の4月から10月末までの半年間、「残業問題解決プロジェクト」を行いました。
フローレンスは毎年、Great Place to Work®(以下、GPTW)の調査として、全スタッフにアンケートを実施しています。(ちなみに2015年は従業員数100-999人の枠で13位にランクイン! 5年連続20位以内で殿堂入り達成です!!)
アンケートでは、「こんな会社で働きたい」という、スタッフからの要望が汲み取れるようになっており、働き方革命事業部では、その結果からより働きがいのある会社にするためのアクションを定義し、実行しています。
アンケート結果で今回フォーカスがあたったのは「残業問題」でした。
スタッフ1日の平均残業時間が約15分のフローレンスですが、業務によっては、月末月初など、時期的な業務量のばらつきが存在します。
単純な平均時間だけでなく、個々人の負荷の偏りを解消し、業務の負担感を軽減すべく、「問題の見える化」「業務の偏りを解消する」を目標にプロジェクトを立ち上げました。
今回は、その残業問題解決プロジェクトで行ったアクションを3つご紹介します。
結果、「残業時間の大きな削減」が実現できましたが、それだけでなく、プロジェクトの過程で、さまざまな気付きがありました。
究極の見える化!個人の残業時間を事業部内で公開!
仮説
「あの人は、忙しそうなのはわかるけど、どれくらい残業しているのかな?」がわからない。業務の属人化・負荷の偏りが見える化されていない。
アクション
残業実態を見える化するため、部署内で「現時点で」「誰が」「どのくらい残業しているのか」を毎日公開することにしました。
フローレンスでは勤怠データをSalesforceに日々登録しています。
Salesforceのデータ集計・メール送信機能を使って、各事業部のメーリングリストに毎日の残業時間を送信し、残業時間の見える化と共有を行いました。
(もちろん実施する前にはことわりをいれましたよ!)
実施前には「見せたくない人もいるのでは」という懸念もありましたが、プロジェクトの意味をしっかり各事業部に説明、その上でコミットしてもらい、施策をすすめました。
個人管理→チーム管理へ!タスク管理ツールによる、「お互いのタスクの見える化」
仮説
タスクの共有が「日報メールでの報告」メインだと、一部のメンバーへの負荷の偏りがわからないのでは?
アクション
タスク管理を「日報メールでの報告」から「ツールを使った一元管理」にして、チームや事業部で進捗状況をリアルタイムに共有するようにしました。
これまでのフローレンスにおけるチーム・部署内タスク共有は、主に毎日の「日報メール」で行われていました。スタッフが増え、受信するメールの件数も増えてくると、マネージャや他メンバーから見て、誰にどれくらいのタスクが割り振られているかを正しく把握しづらいケースも発生していました。
残業解決プロジェクトではこの点を重要な課題ととらえ、「タスクの共有」がより効率的にできる手法を検討しました。
様々なサービスを調査したうえで、一部のスタッフに向けて「チームでタスク管理ができるツール」として紹介したのが「asana」というクラウドタスク管理サービスです。
Asana is easiest way for teams to track their work · Asana
クラウドツールを導入したことにより、「誰が」「どんなタスクを」「どれだけ抱えているのか」が見える化され、チームリーダーはもとより、スタッフ同士が気づきあい、「このタスク、私がやるよ!」というような声掛けが増えていきました。
わからなければやってみよう!事業部別「残業ゼロ月間」
仮説
残業削減キャンペーン、みんなで一斉にやるのは大変だけど、事業部ごとに、一ヶ月だけなら、実現できて、業務の断捨離のヒントもつかめるのでは?
アクション
事業部ごとに、業務量が比較的落ち着く月で「残業ゼロ月間」をやってみてもらうことにしました。
まずは期間を区切り、集中してやってみようということで、各事業部への事前ヒアリングのもと、業務のボリュームや季節的繁忙を予測したうえで、1ヶ月間の「事業部ごと残業ゼロ月間」キャンペーンを行いました。
ポイントは業務の棚卸しとやること(タスク、プロジェクト)の優先度をはっきりさせること。
とても一般的なことかもしれませんが、期間を区切り、改めて意識・共有させることで、残業の原因になる問題が見えてくると考えました。
実施する事業部には、「やるべきこと(Must)」「やったほうがいいこと(Better)」「いつまでにやるべきか(When)」をタスクやプロジェクトごとに確認し合い、目標達成に向けて日々の業務の進め方を工夫してもらうようお願いしました。
もちろん、わたしたち残業削減プロジェクトチームは「さあ、やってね」と無責任にボールを投げるだけでなく、「取り組んでみてどうですか?」という中間フォローアップや、繁忙期には他事業部のメンバーでもできる作業は積極的にするなどして、お互いに支えあって業務負荷の削減を目指しました。
各施策の結果、残業時間が削減!そしてそこから見えてきたもの
その結果……
残業ゼロ月間については、残業時間を昨対比で65%削減することができました。
プロジェクト実施後、各事業部のスタッフに、具体的に何を行ったのかヒアリングしたところ、以下の様な回答がありました。
- 「誰でもできる作業」は自分たちで抱えず、スタッフみんなに支援をお願いする(力仕事、ルーチンワーク、書類作成……)
- その日のうちに絶対に終わらせるべきものを明確に決めて行う(業務の断捨離)
また、以下のような「よかったこと」「今後の課題」が可視化できました。
よかったこと(継続したいこと)
- 意識改革できた。タイムリミットを明確化することで「今日できること」や「自分のキャパシティ」が見えるようになってきた
- 今まで残業で強引にこなしていた暫定対応から、「●●が足りないからこうなるんだ。なら○○すれば解決できるよね」という、根本解決のアイデア発想につながった
今後の課題
- 効率化は進んだけれど、ややピリピリとして雰囲気になってしまい、ハートフルさが損なわれる場合があった。うまくバランスを取っていく必要がある
- 業務には波があるので、日々のボリューム調整だけでなく、例えば月トータルで場所も時間もフレキシブルに働ける制度があったら、スタッフのワークライフバランスをもっと考慮でき、かつ残業ゼロが達成しやすくなるかもしれない
残業削減のポイントは「目的の明確化」と「経営層のコミット」
今回、残業削減プロジェクトをすすめるポイントとして欠かせなかったのは「目的の明確化」です。今回のケースでは、「問題の見える化」「業務の偏りを解消する」が取り組みの目的でした。
ただ単に「残業は少ないほうがよいので、残業ゼロ月間をやりましょう」と放り投げれば、反感を買うのは当たり前。
日常の業務をひとつひとつしっかり見つめ直し、「残業削減の目的は何か?」という共通認識を持ち続けることが必要です。
また、「経営層のコミット」が大きなポイントと言えます。どんなものかというと、「新しいことに取り組むことをちょっとだけ止めて、現状の改善に努めよう」というものです。
新しい取り組みがどんどん立ち上がるフローレンスですが、今回の取り組みにあたっては「残業削減プロジェクトを優先させてください!」と経営陣に強くお願いし、コミットしてもらいました。特に、現場の業務に大きな影響のある「事業部別残業ゼロ月間」の実施については、このポイントが必要不可欠だったと思います。
さいごに
「残業問題」は、今でもいろいろな企業に根深く残る問題です。
いずれは、トップダウンやプロジェクトによって「残業をゼロにしてください!」という指示ではなく、スタッフ一人ひとりが「こうしよう!」「自分のできることはこれだ!」「いますべきことは○○です」といった認識を持ち、自然と残業がゼロになっていく、そんな組織になったら理想的ですね。
このブログが、残業問題に悩むあなたの会社でも、明日から改善に向けた小さなアクションを起こすきっかけになれば幸いです。