フローレンスでは、子どもや親子の「困った」を解決するために、病児保育や小規模認可保育・少人数制の認可保育、障害児保育(施設型、訪問型)など様々な保育事業を展開しています。
それらの保育現場のリアルな事例をご紹介し、「明日の保育をみんなで学び、より良い保育を考える」機会として、先日開催した「〜明日の保育をみんなで学ぼう!保育フェス2023」。
今回のレポートでは、病児保育・認可保育・障害児保育の採用担当3名が登壇し、それぞれが担当する保育について紹介した座談会、”採用担当が語る!フローレンスの保育の「ここが推し!」”の様子をお届けします。
花山新平(病児保育担当)
フローレンスでは入社から一貫して病児保育のスタッフの採用を担当しています。病児保育のお仕事をより多くの人に知っていただき、挑戦していただけるよう、日々尽力しています。また、他の保育現場について知り、お互いに学び合う社内交流企画を推進中です。
田中優花(認可保育担当)
学生時代から子ども支援に関心があり、青少年育成事業や児童養護施設での活動に取り組んできました。前職での採用業務の経験を活かし、フローレンスでは認可園で働く保育スタッフや調理スタッフなど幅広い採用を担当しています。
服部しほり(障害児保育担当)
2020年に新卒でフローレンスに入社。母が特別支援学級で長年勤務していたこともあり、子どもたち一人一人の可能性を伸ばしていく仕事に興味を持ちました。今は採用担当という立場でフローレンスの障害児保育のお仕事をサポートしています。
病児保育・認可保育・障害児保育、それぞれの特徴は?
保育の特徴ですね。「病児保育」って聞いたことある方いらっしゃいますか?
(会場 手を挙げる)
結構いらっしゃいますね!ありがとうございます!
フローレンスの病児保育は、1対1で病気のお子さんを保育するお仕事です。お子さんがいらっしゃる方はイメージできるかもしれませんが、お子さんが病気で登園・登校できないときに、フローレンスのスタッフがご利用者さんのご自宅へ訪問して、1対1で保育します。
フローレンスで、一般的な認可保育園を運営していることに驚かれることがよくあるんですけれど、実はやっていまして。「おうち保育園」という小規模の認可保育所と、「みんなのみらいをつくる保育園」という認可保育園、全部合わせて、東京23区内に15園あります。
フローレンスの保育園では「シチズンシップ保育」という保育を行っています。カタカナでちょっと難しそうに聞こえるかもしれませんが、子どもたちがお互いの気持ちや意見を大事にしながら、自分たちで考えてやりたいことが実現できるような保育を実践しているので、今日はそんな素敵なところもお伝えしたいです。
「障害児保育」というとどんな子どもたちを対象としているのだろう?と思う方もいらっしゃると思います。フローレンスの障害児保育に通っているのは、「医療的ケア児」といって日常的に医療的デバイスを身体に付けて生活しているようなお子さんや、「重症心身障害児」といって重度の知的障害と肢体不自由がある子どもたちです。
保育スタッフが活躍する場としては2つありまして、1つ目が施設型の保育園である「障害児保育園ヘレン」。もう1つが訪問型の「障害児訪問保育アニー」です。施設型・訪問型の2つの形があるという点が、フローレンスの障害児保育の特徴です。
それぞれの保育の「ここが推し」!
フローレンスの病児保育、「ここが推し」ですね!
先程お伝えした通り、病児保育のお仕事は、ご利用者さんのご自宅で1対1で保育をするお仕事です。そのため、まずはなんといっても、1対1でゆっくりお子さんと関われるのが、魅力だと思っています。
また、親御さんから感謝の言葉をいただきやすいお仕事だと思います。
病児保育をご利用いただくときは、親御さんが会社に行けなかったり、お仕事を中断しなければならないときで、言い方を変えると親子のピンチなんですよね。病児保育を通じて、お子さんだけでなく、親御さんの支援もできる、やりがいのあるお仕事です。
私がフローレンスの保育園(認可保育)「ここが推し」としてお伝えしたいことは2つあります。
1つ目は、先程お話しした「シチズンシップ保育」です。子どもたち自身が園の参加者であるという考え方をベースに、子どもたちが自分たちで考えて意見をして、自分たちで決めるということが多くあることです。
例えば、「みんなのみらいをつくる保育園初台」での取り組みでぜひ皆さんにご紹介したいのが、子どもたちが話し合って保育園のルールを決めたことです。それも、保育者側が何か仕掛けたというよりは、偶発的に生まれたものです。子どもたちから、カバンにストラップをつけていいかどうか先生に質問があって、それなら、子どもたち同士みんなで考えてみようかという話になりました。
「つけてもいいと思う」という子どももいれば、「いや、つけちゃダメだ!つけちゃうと、それが落ちて、小さい子が間違って食べてしまうからダメだ!」という子どももいて、議論が白熱しました。
保育者ではなくて、子どもたち自身が考えて、それから実際に「おいしそうなものはつけちゃダメ」と、子どもらしい発想でルールが決まっていったというのが、「シチズンシップ保育」を象徴する事例だなと思います。
2つ目は、フローレンスの保育園でいろんな新しい取り組みを行っていることです。
例えば、保育園でこども食堂をやっていたり、それを園の中だけではなくてお持ち帰りできるようにしたり。特に保育園や幼稚園に通っていない子育て家庭は、どうしても社会から孤立しやすい状況にあります。フローレンスの保育園に通っていないとしても、地域の親子のセーフティーネットになれるよう、従来の保育園の形にとらわれずに様々な新しい取り組みを実践しています。
「障害児保育園ヘレン」と「障害児訪問保育アニー」、それぞれの「ここが推し」をお伝えします。
まず、「障害児保育園ヘレン」は集団保育であるということが、大きな魅力だなと思っています。
「障害児保育園ヘレン」の対象となる子どもたちの中には、生まれてからすぐに入院し、退院後もなかなか外出することが難しいという子も多くいます。園に行って、お友達と一緒に遊べる、大人たちとコミュニケーションが取れるという機会そのものが大切な経験になっていると思います。
例えば、生まれてからずっと経鼻経管栄養という鼻のチューブから栄養をとっていたので、身体が発達しても口からものを食べるということに抵抗感があるお子さんがいました。しかし、ある日、周りの子どもたちがおやつでヨーグルトを食べているのを見て、自分もヨーグルトを食べてみたいという意思を表出してくれました。
そして、実際に食べたら「美味しい!」と、すごく素敵な笑顔を見せてくれたことがありました。このように、お友達と一緒に成長する子どもをサポートできるというのが、「障害児保育園ヘレン」の一番の魅力なのかなと思います。
「障害児保育園ヘレン」が集団保育である点が魅力である一方で、「障害児訪問保育アニー」は訪問型であることが、特徴であり魅力です。訪問型なので、自分のおうちという慣れた環境で落ち着いて保育を受けることができるんですね。例えば、感染症にかかりやすいお子さんで、他の子どもたちとの集団保育は難しいという理由で「障害児訪問保育アニー」を希望される親御さんも多いです。
それから「障害児訪問保育アニー」では、そのお子さんのために全てを設計することができるというのがとても魅力ですね。
例えば、一般的な保育園のおもちゃはボタンが重すぎて押せなかったり、掴むことが難しいので遊べないという子も、「障害児訪問保育アニー」ではそのお子さんの発達に合わせたおもちゃを揃えることができるので、いっぱい遊ぶことができます。全ての環境をそのお子さんに合わせることができる、一人ひとりの成長発達を考えて保育ができるのは、訪問型だからこそ叶えられることです。
フローレンスを漢字一文字で表すと?
私が書いたのは「混」ざるです。
フローレンスにはいろんなキャリアを積んできた方、いろんな考え方の方がいます。病児保育の保育スタッフの中にも、保育士資格をお持ちの方や、ご自身の子育て経験でご入社される方もいます。そのため、様々な保育観を持つ方がフローレンスの中にはいます。
フローレンス全体を見ても、私みたいに保育業界以外から転職した人や、省庁などからキャリアチェンジする人もいます。そういう意味で、いろんな考え方・価値観が混ざり合っていることを表現したくて、この漢字を選びました。
こうして様々な考えを持った人が、混ざり合うことによって、課題に対する解決策にも多様な視点が出てくるんですね。それが「新しいあたりまえ」を目指していく上で、新たなひらめきに繋がっていると感じています。
私は「進」むという字を書きました。フローレンスという組織自体が、日々進化をしていることを強く実感しているからです。
例えば、フローレンスではいろんな事業を運営していますが、どれも社会課題を解決したいという想いから始まっています。小規模保育所がまさにそうですが、解決策を事業として形にし、それが国の制度になり、全国に広まっていって、ということをこれまでたくさんやってきました。加えて、様々な発信を通じて、新しい価値観を広める活動を行っています。
今日の保育フェスでは3つの保育事業のお話が中心となりますが、この他にも様々な保育や福祉に関わる事業があります。変化も大きく対応が大変なこともありますが、やりがいを持って働けていると感じたので、私は「進」むを選びました。
私もお二人と近いですね。直感で「滝」を選びました。フローレンスには、留まらずにどんどん新しいことに挑戦していく風土があります。
今まで通りでいいよねと妥協せず、もっとよくしよう!もっとよくしよう!というトライ&エラーの風土があるので、例えば、新しいシステムもとりあえず試してみよう!の精神で導入されることがよくあります。
常に新しいことが湧いて出てきて、新しい水に変わっていくような組織だなという印象を持っています。水の流れが早いのでびっくりすることもあるんですけれども、上手く波に乗って遠くまでいきたいなという気持ちで働いています。
この座談会を通じて、色とりどりなフローレンスの保育の様子、その魅力、そして、フローレンスという団体の雰囲気を感じていただけたら嬉しいです。
保育というお仕事を通じて、子どもを取り巻く社会課題の解決に関わってみたい。「フローレンスの仲間に、自分もなってみたいな」と感じてくださる仲間が増えることを願っています。