シチズンシップ保育に必要な姿勢、考え方について探求!
みらいの保育園事業部ではシチズンシップ保育の具体的なあり方を探究すべく、隔月の研修と園での実践を往復、繰り返しによって「シチズンシップ保育」の言語化と共通理解、保育の質の向上を進めています。
第3回目はシチズンシップ保育を実践する保育者として求められる姿勢や考え方について探究することにしました。
自分自身がもつ「思い込み」に気がつく
まずは子どもの権利条約の4つの柱である『生きる権利』『育つ権利』『守られる権利』『参加する権利』について。これらについては皆さんもおなじみだと思います。
フローレンスが取り組んでいるシチズンシップ保育では「こどもが参加する」ということを大切にしています。それがこども主体であるということだと考えているからです。
けれども、大人が持つ*バイアス(思い込み)がこどもの参加する権利を阻んでしまう場合がありませんか?
皆さんもついつい「こどもだから、、、」という考え方をしてしまう時があると思います。
今回はわたしたち自身が持つバイアスをグループで洗い出すことから始めました。
わたしたちは誰もがバイアスを持っています。それはこれまでの体験や環境から知らず知らずのうちにつくられたものであり、良い悪いではありません。
けれども、ときにそのバイアスがこどもの権利を阻んでしまう可能性があることを理解し、自分たちの持つバイアスに自覚的になることが大切だということを確認し合いました。
*バイアスとは:「先入観」や「偏見」を意味し、認識の歪みや人の思考や行動の偏りを表現する言葉のこと。人間は故意的でなくても、無意識の偏見や思い込みから偏ったモノの見方をしてしまう場合がある。
※参加者の声の引用
無意識のうちに当たり前に思い込んでいること、決めつけていることがあって「あ、これってバイアスだったんだ?」と気付きました
自分が言われてきたルールや保育園の中での伝統的なルールなどにもあまり疑問を抱かず、言われてきたからそういうものだという何も疑問に思わずにいたことに気が付いた
日々の保育の中でバイアスがかかりそうな場面があると思うが、自分がそこで立ち止まり、それで本当によいのか、ほかにやり方はないのか、はてなをもつことを忘れないようにしていきたい
自分だけの考えにとらわれないように意識していきたい
保育理念・保育目標を改めて考える
次に、わたしたちフローレンスのおうち保育園・みんなのみらいをつくる保育園で掲げている保育理念・保育目標についても改めて考えてみました。
保育理念
私たち保育園はみんなの未来をつくることに自ら参加し、貢献し、そして楽しむ心を育みます
保育目標
自分の気持ちを大切にし 他者の気持ちも大切にする子ども(共感性)
自らの内なる声を聴き 主体的に動く子ども(内発性)
自由に考え 創造する子ども(創造性)
こどもが『自ら参加し、貢献する』とはどういうことでしょうか?
例えば、自分自身が所属する社会への責任をもち、仲間と助け合うこと。
社会がより良くなるように、参加し、変革していくこと。
社会に対してときにクリティカルに考え、より良いアイデアを生み出すこと。
これらはこれからの社会にとって必要不可欠な振る舞いですよね。
わたしたちが取り組んでいるシチズンシップ保育では、そうした振る舞いができるこどもたちを育んでいくことを目標にしています。
一方で、保育園という集団保育の場において、あるいは社会においては必要なルールや制約があります。その中で、こどもたちが「参加する・貢献する」にはどうしたら良いんだろうか、一見すると対立するようにも感じられる状況の中で、どうしていったら良いのか迷いをもっているスタッフもいます。
簡単に答えは出ませんが、わたしたちにとってこれからも考え、模索し続けるテーマになりそうです。
※参加者の声の引用
研修を通して、なぜこの保育理念をたてているのか知り、こどもたちの声を聴くことの大切さ、自由に意見を伝える事の大切さを改めて感じた
大人の都合と安全との兼ね合いで悩ましく、コントロールなのか必要なことなのか迷うことも多い
少しずつではあるが、相手の気持ちを知ろうとする気持ちが出てきている子がいる。またやりたいことを自分から発信できる子が増えてきた
保育者の専門性とは
さらに、保育者の専門性とは?ということも捉え直してみました。
前回からのこの2ヶ月間、参加者が研修での気づきや学びを持ち帰り、自園で様々な実践につなげています。
毎回の研修内で行う実践シェアの時間では、「こんなことをやってみた!」「こんなこどもの様子が見られた!」「やってみたけどこれで良いのか・・・」などいつも大いに盛り上がっています。
そんな中で参加者に対して1つの問いかけをさせてもらいました。
「保育者の役割って何でしょう?」
皆さんはどのように考えますか?
保育所保育指針には『保育』について以下のように記されています。
『保育所における保育は、養護及び教育を一体的に行うことをその特性とするものである』
つまり、保育者は養護と教育を一体的に行う役割を担っています。
保育者は、こどもの命を守り、情緒の安定を図る(養護)とともに、乳幼児期にふさわしい経験を通してこどもの力を引き出すための意図的な働きかけを行う必要があるのです。
わたしたちは日々の保育において、どれだけの意図を持ってこどもたちに関わっているでしょうか?
※参加者の声の引用
保育者として、「これをやろう」という意識も大切だが、無自覚無意識にやってしまっている行動をどう変えていくかはもっと大切。自分で気づくのはとても難しいので、チームできちんと意見できる風土を作っていきたい。
こどもたちが何かを成し遂げるために、教え込むのではなく、こどもたち自身の力で経験し、学び、それを活かしていくことのできる環境や土台をつくっていくことが大切であると感じた。
シチズンシップの体現者としてのチャレンジ
今回の研修を終えて、参加者からは「難しい!」という声が聞こえてきました。「でもワクワクする」「みんなで考え、深めていきたい!」という声も同時にありました。
より良いシチズンシップ保育とは?を考え試行錯誤して実践することは、決して楽な道ではないかもしれませんが、わたしたち自身がシチズンシップの体現者として『参加し、貢献し、楽しむ』ことに引き続きチャレンジしていきます!
フローレンスの保育園では、園見学や保育体験、おしごと説明会の申し込みを随時受け付けております。
シチズンシップ保育のエピソードもお届けしておりますので、ぜひお気軽にご参加ください♪